介護職員の退職理由は”制度”にあった

職員が活き活きと働ける職場作り、地域No.1職員事業所になるための制度作りについて、日々の活動をつづっております。

有期雇用契約の注意点2

前回からの続きです。

 

労働者が無期転換の申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされて、無期労働契約がその時点で成立します。

無期に転換されるのは、申込時の有期労働契約が終了する翌日からです。

しかし、無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。

従って、労働契約上変わるのは契約期間のみで、それ以外は一切変わりません。

 

例えば、フルタイムで働く契約社員が無期雇用になったからといって正社員になるわけではないのです。

正社員と賃金は同じかもしれないけど、福利厚生、退職金、賞与などは違う事が実際は多いです。

就業規則でそのように規定されているケースが圧倒的に多いです。

また、無期契約の転換を申し込まないことを契約更新の条件とする事は、あらかじめ労働者に無期転換契約申込権を放棄させる事になるので、そういう事は許されません。

 

 

また、有期契約と有期契約の間に6か月以上の空白期間があれば、その前の有期契約期間はリセットされます。

クーリング期間といいます。

実際には、何年も働いている人に5年経った時点で6か月間休んでほしいとは言えませんし、6か月経ってまた戻ってきてくれるかは、はなはだ疑問ですよね。

有期契約期間が1年未満の場合は、その半分以上の空白期間がクーリング期間としてみなします。

 

現実的な問題として、仮に無期転換職員が発生した場合、その人の労働条件通知書や労働契約書に記載されていない部分の労働条件はどのようになるのでしょうか。

 

就業規則上の従業員区分として、正規職員用、パートタイマー・アルバイト用、嘱託職員用の3つに分けて作成されている事業所において、無期転換職員はどの区分になるのでしょうか。

それぞれの規則上の職員の定義によりますが、パートタイマー・アルバイトや嘱託職員の定義のひとつとして、有期雇用契約者であったら、当然、無期転換職員は当てはまらないため、結果として、正規職員用が適用されるのでしょうか。

 

正規職員は、退職員や賞与等、賃金以外で優遇されているものが既定されていることが多いです。

無期転換職員にすべて正規職員と同様な処遇をして、経営上問題ないのでしょうか。

無期転換職員用就業規則を作成する必要があります。

有期雇用契約の注意点

 昨今有期雇用をする会社がとても増えています。

有期雇用時における注意点として、会社経営上、必ず行わないといけない手続きがあります。

すでにご存じとは思いますが、平成25年4月1日に労働契約法が一部改正されました。その改正ポイントは3つです。

1つ目は無期労働契約への転換です。

有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申込みにより、期間の定めの無い労働契約(無期労働契約)に転換できるというルールが新設されました。

 

2つ目は、雇い止め法理の法定化です。

今までは雇い止めが認められるかどうかは多数の判例があり、ある程度確立されております。

その確立されている判例内容を、法定化されたというものです。

 

3つ目は、不合理な労働条件の禁止です。

有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることだけによる不合理な労働条件の相違を設ける事を禁止するといるルールが新設されました。

 

 

こあれら3つのうち、経営上最も影響が大きいのは、1つ目の無期労働契約への転換です。考えてみると、すごい法改正だと思います。

基本的に、契約とは双方の合意があって成り立つものだと思いますが、そうではなく、一方の意思のみで契約が確立されてしまうというものですから。

 

例えば、1年契約の有期契約者は4回契約したら5年経ちます。

従って、5回目の契約をした時点で、本人が無期契約にしてほしいと言えば無期契約になってしまうという事です。

この様なルールが2年前から出来ているのです。

5回目の更新時に申込みをしなかったから権利が無くなるのかというとそうではなく、いつでも無期雇用の申込みが出来る状態になっております。

 

仮に契約期間が3年だった場合、1回更新をしただけで実質5年を超えてしまいますので、3年経って1回更新をした直後から、無期雇用への申込みの権利が発生することになります。

 

法改正されたのが平成25年4月1日ですから、平成25年4月1日以降に締結、または更新をした時点からの有期労働契約が対象です。

従って、無期雇用への転換権が発生するのは、早くても平成30年4月1日以降です。

 

大企業はすでに事前の対策をとっておりますが、こういう事を知らない、または知っているがあまり関心がない、介護事業所がほとんどです。

 

次回に続きます。

長期休業者への対応について

例えば、育児休業をされて、その方がいついつから休みますという事になったら、ハローワークや有料職業紹介で人材を募集しないといけないですね。

育児休業に限った話しではなく、傷病で長期入院された場合も想定されます。

ここでは、話しをわかりやすくするために、育児休業を例にして説明いたします。

 

仮に子供が1歳になったら戻って来ますという事であれば、1年後には戻って来ますので、当然有期契約で募集しなければなりません。

 

皆さんご存じの通り、昨今は人手不足です。

一般的な時給で有期契約という条件だと、1か月以上経っても全く音沙汰がないということはよくあります。

その場合、どうしましょうという事になります。

賃金を高くすれば可能かもしれませんが、もちろん、簡単にできる話しではありません。

そうであるならば、無期契約で募集しなければならなくなります。

でも、その方が復職されたら、どうしましょうか。

 

育児休業規程の話しになりますが、育児休業から復帰する場合は、原則として前と同じ部署に復帰させますが、業務上やむを得ない場合は、他の部署に復帰させる事もありますという内容の条文が普通です。

従って、本人に「無期契約で職員さんを募集します。職員さんが来てくれて、1年後にあなたが復帰された場合に、二人分の業務量が無い場合、もしかしたら、違う部署での復職もあり得ますよ。ご了承下さい。」と念を押して募集をする事になります。

 

事業所としては、そうはならないように最大限の努力はする、と伝えることは必要です。

経験上、伝え方の違いで相手が受け取る感情は大きく違ってくることは頻繁にあります。

どのように話しをするのか、どのような論理構成で話しをするのか、想定される質問に対してどのように答えるのかは、労務管理上必須のスキルです。

 

いずれにしても、人に優しい、しかし仕事には厳しき職場でありたいものです。

今年の4月からパートタイム労働法が改正されました。

 今年の4月からパートタイム労働法が改正されました。

労働条件通知書又は労働契約書に一部追加記載事項、説明事項が発生しました。

 

今までのパートタイム労働法の対象は無期契約のパートさんでした。

しかし、今年の4月からは、無期有期関係無く全てのパートさんが対象になりました。

ちまみに、パートタイマーとは、常勤職員に対して、所定労働日数や所定労働時間が短い人のことをいいます。

 

業務内容、人材活用のしくみが常勤職員と同じパートさんは、基本的に、時給当たりの単価が、常勤職員と同じレベルでないといけませんよというのがパートタイム労働法の主旨です。

常勤職員といっても、経験年数やスキル等によって様々ですので、当然、このパートさんと同レベルの常勤職員と比較して、ということになります。

 

私の経験上、今のところ、この法律違反ということで主張されたことはありませんが、もしかしたら今後はあるえるかもしれません。

 

今回のパートタイム労働法が改正内容としては、パートさんを雇い入れた時は、実施する雇用管理の改善措置の内容を事業主が説明しなければならなくなりました。

これは口頭でも書面でも良いですが、もちろん、書面の方が後で言った、言わない、の話しになりかねないことを考えると、書面の方がよいです。

労働条件通知書や労働契約書に書いても当然構いません。

 

内容は、パートさんが従事する職務の遂行に必要な能力を付与するための教育、訓練については、職務内容が同じパートタイマーに対しても同様に実施する。

福利厚生施設の利用は正規職員と同様です。

事業場で正規職員の募集を行う場合は、事業所に掲示し周知する。

といった内容です。

 

そして、雇用関係の改善等の事項に関する窓口相談を記載する義務が定められました。

記載内容は、担当者名、職種名、連絡先です。

相談窓口の周知ですが、私は、パートさん用の労働条件通知書または労働契約書に相談窓口欄を作って、担当、職種名、連絡先を記載するようにしております。

 

これが、法律上、パートさんを雇う時に必要になっています。

賃金の諸手当の考え方について

私の意見ではありますが、手当の項目は出来るだけ少ない方がいいと考えております。

手当は、その意義と定義をしっかりと検討したうえで慎重に設定してください。

ときどき、その場その場で手当をつけ、結果としてその定義が良くわからない手当がたくさんある会社も見かけます。

手当の設定について、よくある皆勤手当と住宅手当について検討してみたいと思います。

 

皆勤手当についてですが、ユニオンや団体交渉で揉めて裁判になるケースもあります。

皆勤手当の支給要件として、よく就業規則に記載されている内容は、一賃金支払期において無遅刻、無早退、無欠勤であった場合というものです。

 

有給休暇で休んだ場合は一般的に欠勤扱いにはなりませんので、皆勤手当は支給する必要があります。

例えば15分遅れた場合は無遅刻無欠勤ではないので、皆勤手当は当然払われませんね。冬、雪が降って交通機関が混乱し止まってしまったため、1時間遅れてしまいましたという場合はどうでしょうか。

特に名古屋は温暖な地域なので、冬に対する備えはあまりされておりません。

しかし、年に数回は雪が降り、たまに数センチ積もって交通機関が混乱することは、1年に1回くらいあり得ます。

 

この場合、おそらく、職員さんは不可抗力なので仕方ないと思うのではないでしょうか?こういった場合問題にはなりますね。

何も言われない場合であっても、納得できない感は持たれるかもしれませんね。

このような事の積み重ねが、職員定着に影響してくるかもしれません。

かと言って、例外として支給したら、何が例外事由なのか分からなくなってしまうという事態が新たに生じます。

 

どうしても皆勤手当を支給したい場合は、その支給条件を、よく検討して、不公平感が生じないように設定することが重要です。

 

次に、住宅手当です。

よく就業規則に記載されている内容は、家賃の何%を補助しますというものです。

この支給事由によれば、当然、自宅から通っている人は住宅手当が無い事になります。

実際の事例ですが、会社の近くで住んでいた人で自宅から通勤していたので、住宅手当は支給されておりませんでした。

ところが、親と喧嘩したことで、自宅から出て、アパートを借りることとなりました。

従って、住宅手当を下さいと言ってきました。

この様な場合もあるので、住宅手当をどの様に設定するのかは難しいです。

また、自宅通いでローンを抱えている人との不公平感もやはり感じます。

 

手当は良く考えて設定しないと、例外的事項が起こった場合に困ります。

非常勤職員の労働日数の考え方

休日に関してですが、パートさんの休日の設定は難しい場合があります。

それは、休日が、毎週何曜日、週何日と決まっていればいいのですが、会社の業務量に合わせて変動するというケースは、実際の介護事業所ではよくありうることです。

 

この場合、一週間または一カ月の休日(または労働)日数が固定されていないので、どのように雇用契約を結べばよいのかとの問題が生じます。

 

例えば、1か月単位の変形労働時間体制を採用している場合ですと、あらかじめシフト表として個人ごとに月間カレンダーを組んで、本人に明示出来るのであれば問題ありません。しかし、実際のところ、非常勤職員さんの場合、他の人のシフトの関係や利用者さんの都合で、1カ月先まで予定が組めないという事業所も多々あると思います。

いい意味で、介護事業所は柔軟性がある職場ともいえます。

 

しかし、労務管理上は大きなリスクとなります。

例えば、採用時には、週3日勤務で時給900円と取り決めたとします。

ところが、期間が過ぎるうちに、仕事が少なくなったなどの理由で、週2日や週1日の勤務になったり、逆に、仕事が忙しい時は毎日来てと言われたりといったケースです。

 

私としては苦肉の策ではありますが、月間何日~何日くらい勤務、何時~何時までのうちで何時間勤務、といったような記載をしております。

法的にはどこまで良いのか正直わかりませんが、書かないよりは良いです。

 

経験上、実際に問題が発生している事例があります。

入社時に週3日程度勤務、1日6時間勤務と決めたのですが、働き始めて何ヶ月かして業務量が減り、勤務日数が徐々に減ってしまい、結局、収入にならないので退職された事例です。

問題というのは、退職後、働かしてくれなかった分は契約違反なので、その分の休業手当の支払いを要求してきたということです。

会社の責任でその人を休ませなければならなかった場合は、その人の1日分の平均賃金の6割以上を休業手当として支払わなければならないと労働基準法上は定められております。

 

労働契約書にどのように記載するのかは、非常に大事なことなのです。

入社時に必要な書類と労働契約書の留意事項

入社時に必要な書類ですが、労働条件通知書又は労働契約書に記載が必要な事項が列記してあります。

雇用契約書と労働契約書は殆ど同じ物です。

労働条件通知書と労働契約書の違いですが、労働条件通知書は会社が一方的に労働条件を通知するもので、労働契約書は、採用する側と採用される側が了承した上で署名捺印するものです。

従って、労働契約書の方が、後々トラブルとしては少なくなるかと思われます。

 

しかし、労働基準法上は労働条件を文書で明記するとあるので、通知書でも法律上は問題ありません。

その他、入社時に必要な一般的なものは、年金手帳や雇用保険被保険者番号、通勤経路や交通機関などです。

誓約書や身元保証書、人事異動承諾をとる会社もあります。

来年からはマイナンバーを通知してもらわないといけなくなります。

就業規則上、入社時の提出書類として、マイナンバー通知書も入れることとなります。

 

入社時の労働条件通知書に記載が必要な事項は、労働期間、期間の定めの有無、就業場所、始終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休日、休暇、賃金に関するもの、退職手当、賞与の有無、その他税金社会保険料以外で給料から引くものがあればその内容、災害補償、表彰、制裁、休職、解雇があればその内容等です。

 

労働条件通知書(または労働契約書)の留意事項として、まずは契約期間ですが、試用期間が記載されておりますでしょうか。

事業所において試用期間が設定されているならば、雇用契約期間の定めが無しであっても明記した方がいいです。

これは解雇予告手当との兼ね合いです。

 

解雇する場合は30日以上前の解雇か、それよりも短い場合は短くなった分だけ解雇予告手当を払わないといけないと労働基準法上決まっています。

しかし、採用日から14日以内である場合は、解雇予告手当は払わなくて良いとなっています。

正しくは、採用後14日以内の試用期間である場合ということです。

 

例えば、採用から1か月間が試用期間であるというケースの場合、採用から14日以内に解雇した場合は解雇予告手当は必要ありません。

ただし14日以内に解雇したとしても、試用期間でなければ解雇予告手当は必要となります。

 

雇用契約期間の定めが有りの場合については、契約更新の有無というところで、自動的に更新する、更新する場合が有り得る等ありますが、自動的に更新するのは何の為に有期契約を結んだのかがよく分かりませんので、これは有り得ません。

契約の更新をしないというのは当然有り得ます。

一番問題となり一番多いのが、更新する場合が有り得るというケースであり、わたくしの経験上、最も多いケースです。

 

更新するかしないか分からないという場合、どの様に判断するのかは、ひな型としては、契約期間満了時の業務量、勤務成績、態度、能力、会社の経営状況、従事している業務の進捗状況、その他が例示されておりますが、現実問題、このような内容で判断することは非常に困難ですし、これらで判断すると言われても正直分かりません。

従って、非常に難しいのですが、仮に、事業所が次回の更新はしないと判断し、本人に話した際、本人から何故ですか?と聞かれた時に、労働条件通知書に基づいてきちんと説明出来るように、できる限り明確に書いておいた方がいいです。

 

営業の方でしたら良く分かると思います。

例えば、何ヶ月以内に最低何台を受注するとかですが、事務の方でしたらエクセル、ワードの操作や遅刻早退の頻度等、問題の無い範囲でできるだけ具体的に書いた方がいいです。