介護職員の退職理由は”制度”にあった

職員が活き活きと働ける職場作り、地域No.1職員事業所になるための制度作りについて、日々の活動をつづっております。

出来高給の残業代計算

前回の続きで、出来高給を採用されている職員が、残業(時間外労働)をした場合の割増賃金はどのように計算したらよいでしょうか。

労働基準法上、時間外労働は25%、深夜時間労働は25%、法定休日労同は35%の割増賃金が必要となります。

もちろん、出来高給の場合であっても割増賃金は支払う必要があります。

しかし、通常の賃金(月給や時給)とは計算方法がずいぶんと異なります。

 

通常の賃金(月給や時給)との比較で考えてみましょう。

通常の賃金が時給であり、その他の手当として月額で皆勤手当が支給されているケースでみてみましょう。原則的には下記の計算方法になります。

  • (基本時給+皆勤手当/月平均所定労働時間)×1.25×残業時間数

となります。

ちなみに、通勤費は、計算対象の手当とはなりません。

 

次に、出来高給についての計算方法です。

  • 1ヶ月の出来高給/その月の総労働時間×0.25×残業時間数

となります。

通常の賃金と比較してみましょう。

違いは、

  • 月平均所定労働時間かその月の総労働時間か
  • 割増率が1.25か0.25か

です。

その違いの根拠は、下記の通達が出されているためです。

  • 0.25ではなく、0.25である理由

出来高払い制その他の請負制によって賃金が定められている場合については、時間外の労働に対する時間当たり賃金、すなわち1.0に該当する部分は、すでに基礎となった賃金総額のなかに含められていますので、加給すべき賃金額は、計算額の2割5分以上であれば足りることになります。」(昭23.11.25 基収第3052号)

  • 月平均所定労働時間はなく、その月の総労働時間である理由

出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額(労基法施行規則第19条第1項第6号)

 

従って、通常の賃金と出来高給を併用する場合は、それぞれの賃金ごとに、別別に計算して、後に合算する作業が生じます。

 

例えば、時給1,000円、皆勤手当5,000円/月、その月の出来高給80,000円、月平均所定労働時間168時間、その月の総労働時間180時間、残業時間20時間であった場合、

  • (1,000+5、000/168)×20×1.25+80,000/180×20×0.25

となります。

 

もっとも、介護事業所の場合、労働時間制が原則どおりではなく、1ヶ月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制を採用されている場合が多いので、残業時間を算出する方法が少し異なってきます。

これは、賃金ではなく、労働時間のお話しなので、後日、あらためてご説明したいと思います。