介護職員の退職理由は”制度”にあった

職員が活き活きと働ける職場作り、地域No.1職員事業所になるための制度作りについて、日々の活動をつづっております。

出来高給について

訪問介護訪問看護の賃金体系について調べてみますと、訪問ごとに1件○○円、といった出来高給を採用されている事業所が数多くあります。

身体介護の場合

  •  所要時間20分未満      ○○円/件
  •  所要時間20分以上30分未満 ○○円/件
  •  所要時間30分以上1時間未満 ○○円/件

といった具合です。

では、出来高給を採用する場合、どのような法律的な制約があるのでしょうか。

 

移動時間については、訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(平成16年8月27日基発0827001号)」が基準を示しています。

 

移動時間とは、使用者の指示命令により事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間のことをいいます。

よく休憩時間なのか移動時間なのかとのご質問をお受けすることがありますが、移動時間中の利用が、職員の事由にすることができるかどうか(そのように事業所の制度上、扱わうことを認めている)かどうかで、判断することとなります。


従って、例えば、「Aさん宅」から「Bさん宅」への移動にかかる時間が15分であるとします。Aさん宅での業務終了からBさん宅での業務開始までの時間が15分しか空いていない場合は、移動中、その職員が、自分の自由に、その15分を利用することは通常できないので、この移動時間は労働時間に該当します。
仮にBさん宅での業務開始までの時間が2時間空いていて、その間に買い物に行く等、自由利用が可能であればその時間については休憩時間となります。

 

また、上記の通達によれば、「訪問介護に従事した時間に対して支払う賃金額」と「移動時間に対して支払う賃金額」は、最低賃金を下回らない範囲であれば、労使の話し合いによって差し支えありません。

といされております。

私の経験上、この移動時間の時給は、最低賃金とされている事業所が多いと思います。

 

 

次に、労働基準法の規定を見てみましょう。

労働基準法第27条にて、”出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。”と定められております。

従って、出来高払制を採用していても、労働時間に応じた一定額の賃金を保障しなければなりません。

では、一定額の賃金とは、いくらなのでしょうか。

 

自動車運転者についての通達(平成元年基発第93号)の通達にて、”歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること。”とされております。

従って、出来高給を採用する場合、労働時間に対して、

  • (固定給+出来高給)/通常の賃金>60%

となるようにする必要があります。

当然、職員が、自分の出勤簿や給与明細を見て、確認計算ができるような制度となっていなければなりません。

 

よく見られる、

  • ○○円/件(移動時間として60分含む)

という内容はどうでしょうか。

私として、逆算して時給いくらになるのか分からないため、よくないと考えております。

具体的には、出来高給を導入されたいのであれば、(固定給+出来高給)というのがよいのではないでしょうか。