有期労働契約の雇止めについて2
有期労働契約は、基本的に、恒常性、基幹性の労働を前提としていません。
ですので、雇い止めをする場合は、恒常性、基幹性のある仕事をして場合は、認められない可能性が高くなるかもしれません。
例えば、試用期間として3か月の有期契約を結んで、本採用で改めて4か月目から無期契約を結び直す事業所も相当多いです。
採用から3か月間は契約社員とし、4カ月目から正規職員とするパターンです。
話しはずれますが、社会保険の被保険者として強制的に加入する条件として、
- 契約上の1週間の労働時間が通常の労働者(正社員)の概ね4分の3以上であること
- 契約期間が2ヶ月を超える、または2ヶ月を超える見込みがあること
の2つが満たされていることにあることから、採用から試用期間として2か月の有期契約を結んで、3か月目から本採用として無期契約を結び直す事業所も多いです。
最初の2カ月は社会保険に加入せず、3カ月目から加入することで、社会保険料の節約になるためです。
脱線しましたが、当事者の言動という点も雇い止めが認められるかどうかは、重要な要素です。
3か月間の試用期間として有期契約を結ぶが、たいていの人はよほどの事がない限り本採用されますよ、という話しを最初にされていたり、その職場でほとんどの方が本採用されたりしている実態があると、雇い止めは認められない可能性が高くなります。
また、反復更新の回数、勤続年数も大きく影響してきます。
例えば、形式的に1年や半年おきに更新して10年以上働いているパートさんがおられる事業所もあると思います。
このような場合、を雇い止めしようとしても、やはり認められない可能性が高いです。
形式的に、書類上のやりとりをしているのみで、更新時に、するのかしないのかを、きちんと吟味して結論を出している訳ではないためです。
従って、他の同様な職員の更新状況がどうなのかも影響されます。
この様な事が判断基準となり、雇い止めが認められるか否かが決まってきます。
逆に、非基幹的業務で臨時的な仕事をしていて、当事者が契約期間満了によって終了すると明確に認識している、または、更新手続きが厳格に行われており、判断基準によって、あまり更新されている職員も多くないという場合には認められといえます。
その他のケースとして、
業務内容が恒常的であり、かつ、更新手続きが形式的、雇用継続を期待させる使用者の言動が認められ、同様の地位にある労働者について過去に雇い止めの例が少ない場合は、雇い止めは認められない場合が多いです。
業務内容が恒常的で更新回数が多いが、業務内容が正規職員と同一ではなく、同様の労働者に雇い止めの例がある場合は認められる可能性がそれなりにあります。
特に、法律上の理屈としては、上記のとおりです。
中小の事業所にとっては、理屈通りできる訳ではないので、実際の現場との整合性をどのようにとっていくのか、が課題となります。
法律とは違う分野での人事制度を効果的に取り入れる必要があります。