目的と手段の誤認
よくお客様とご相談を受ける際、話されている内容を掘り下げて考えていると、本来のご相談内容は、ちがうところにある、ということがよくあります。
介護業界でいえば、介護報酬が下がったため、その分利益が減った。
そのため、介護保険の動向をいかに早くつかみ、いかに早く対応することが非常に重要です。
しかし、介護保険にひたすらついて行くだけでは、事業所に明るい未来は見込めません。
多くの事業所の経営者の方は、強く感じられているのではないでしょうか。
介護報酬の総額は、確かに、今後10年で約2倍増えます。
それは、75歳以上人口が約500万人増えることが要因であり、対象者が増えることで総額も増えるだけであって、一人当たりにかける費用は逆に減っていきます。
このことは、多くの事業所の経営者の方は、強く感じられているのではないでしょうか。
では、どうすればよいのかがはっきりせず、ぼんやりしているのが実態ではないでしょうか。
そのため、ますますの経営効率のアップが必要であり、そのポイントは、視点加算の積極取得や事業拡大、既存資源の活用となります。
特に、既存資源の活用が重要です。
多くの介護事業所の経営者の方が、最初に介護事業を始められた動機は、”我々は、介護保険を活用した介護事業(高齢者を支える・守る事業)であり、介護サービスを通じて、経営理念を実現するための価値を提供する、ことではないでしょうか。
そこには、本来、その価値と介護保険は関係のないものであるはずです。
しかし実態は、“介護保険事業を営んでおり、自社の盛衰は、介護保険の動きにかかっている。”となってしまっております。
介護保険の書類の多さや処理の煩雑さ、特に加算等の要件のあいまいさやわかりにくさ、人員基準の厳格化などを考慮すれば、どうしても、そのような思考になってしまうのは致し方ないとは思います。
しかし、本来はそうではないはずです。
今回の記事のテーマは、本来の介護事業所のあり方ではなく、目的と手段についてです。
上記の例の場合、目的は、本来の介護事業所の目指すべき姿は何なのか、であり、介護保険制度にいかについて行くかではないはずです。
実際、介護事業所を経営するうえで、介護保険制度は最も大きな要素であることに間違いはありません。
従って、介護保険は、本来を姿を追求するための手段にしか過ぎないといえます。
これは単なる例え話しです。
このような目的と思っていたことに対して、よく考えてみると、それは手段に過ぎなかったということがよくあります。
このことを間違えて考えると、とんでもない誤った結果になりかねません。
自戒も込めて気をつけたいと思います。